会社設立・法人成りのメリット・デメリット

メリットデメリット

当事務所のお客様や、新規で相談に来られる方の中には、会社設立を検討されている方が多くいらっしゃいます。そのうち大半の方は、会社設立を希望する理由として「税金が安くなるから」とおっしゃいます。
確かに会社設立することで、税金が安く抑えることができることはあるものの、社会保険等を考慮すれば逆に負担が増える可能性もあります。また、それ以外にも会社を設立することによるデメリットも存在します。今回は、会社と個人事業主の異同点の一覧と、それぞれの内容について簡単にまとめたいと思います。会社設立を検討されている方は、検討の際の一助としていただければ幸いです。

会社vs個人事業主 対比一覧表

項目会社個人事業主
税率25~35%(所得に対して一律)15~60%(超過累進課税)
社会保険強制加入一部を除き、任意加入
運営コスト
信用力
賠償責任出資額に限定無制限
節税策多い少ない
  • 税率
    個人事業主と会社とでは、負担すべき税率が大きく異なります。
    上記のように、税率だけに着目すれば、会社は個人事業主に比べ、お得なように思われるかもしれません。ただし、税金の計算方法が会社と個人でそれぞれ異なるため、一概に会社のほうが得とは限りません。
    実際に税金が少なくなるかどうかは、個々の事業内容や経営体制によって異なるため、個別に計算して検討する必要があります。
  • 社会保険
    意外と知られていませんが、実は社会保険料の負担は事業主にとって大きな負担になります。特に事業所として社会保険への加入が義務づけられる場合、社会保険料の負担はさらに大きくなります。
    個人事業主の場合、小規模な事業所であれば、事業所としての社会保険への加入義務はありませんが、会社の場合は社長1人だけであったとしても社会保険への加入が必須となります。
    ただし、社会保険料として会社が負担したお金は、会社の経費となり税金額にも影響するため、税金負担額と併せて計算したうえで、最適な負担を検討する必要があります。
    また、事業主の社会保険への加入は従業員の福利厚生になりますし、将来受け取る年金額も増えることから必ずしもマイナス面ばかりではないことにも留意が必要です。社会保険に加入していることは求人にも有利になります。
  • 運営コスト
    会社設立することで、個人事業主と比べて、様々な運営コストが発生します。
    例えば、赤字でも一定の税金(均等割年間7万円~8万円ほど)負担が必要となったり、上記の社会保険への強制加入による費用負担増加にも留意する必要があります。税理士費用も個人事業主よりも会社の方が一般的に高くなります。
    新たに事業を開始する場合には、まずは費用負担の少ない個人事業主からスタートして、事業が順調に進み売上が大きくなってから会社にする方が安全ではあります。
  • 信用力
    税制上のメリットと並ぶ法人成りのメリットとして、対外的な信用力が高まる点があります。会社の方が個人事業よりも取引先の信用が得やすく、実際に取引先によっては会社であることを取引の条件に定めるケースもあります。
    一方で、「社会の公器」として、社会的な責任も求められます。会社の登記簿謄本上には会社の所在地はもちろん、代表者の氏名や住所も公開されてしまうため、ゼロから会社設立して事業を開始する場合には、それなりの覚悟が必要です。
  • 節税策
    個人に比べ、会社のほうが節税のために取り得る選択肢は多いです。
    役員報酬の設定や福利厚生費の活用など、一定以上の利益が出て、かつ、事業資金として手元にお金を多く残しておきたい場合には、個人事業主よりも会社のほうが利点は多いです。
    一方で、会社による事業運営を行っていく場合には、代表者個人と会社の財布を明確に区分する必要があります。個人事業主のように、会社の預金口座から自由にお金を引き出して生活費に充てることは、原則認められません。代表者が会社からお金を借りることも可能ですが、その場合にも決算書上、代表者への資金の移動が明確になりますので、銀行による融資判断や、取引先からの信用という観点からはマイナスとなる可能性があります。

せとうち税理士事務所の会社設立サポート

会社を設立する場合、そのメリットとデメリットを考慮したうえで意思決定する必要があります。
会社を設立したものの、かえって損をする場合も少なからずあります。
せとうち税理士事務所では、そういった不利益を被らないためにも、予め会社設立した場合のシミュレーションをし、お客様にご提示しております。
会社設立に関する相談については、下記リンク先に記載しております通り、無料で対応しております。興味がある方はお気軽にお問い合わせください。